学生の思想を読む

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人的資源チャンピオンとは

①Dウルリッチが言った人的資源チャンピオンズの意味、②人的資源チャンピオンが組織の構成員にできる事、③これらのご自身の経験、について1200字程度でまとめよ。

 

D・ウルリッチの提唱する人的資源におけるチャンピオンとは、従事者のニーズを把握し、従業員たちの目標へ向けた旗振り役を行う立場のことである。また、組織においてその役目を担う人が多ければ多いほど良いとされるため、しばしば人的資源チャンピオン“ズ”と呼称される。世間一般的に言われるチャンピオンとは「制覇者」や「擁護者」といった意味があるが、先の提唱におけるチャンピオンをあえて日本語に置き換えるならば、それは「指揮者」ではないだろうか。

 人的資源チャンピオンの使命は組織とその構成員の仲介、橋渡し役を行うことである。まず、組織の構成員はその活動の中で、自分に求められる要求を感じる。その要求の達成のため自分の資源を活用しようとするが、要求と資源の間に乖離が生じると精神的な落ち込みから鬱の感情を抱くようになる。構成員の持つスキルが要求以上に高い場合にも負の感情を抱くことがある。どちらのケースにしても、組織が構成員を上手く扱えない場合に頻出するが、この問題を解決するのが、人的資源チャンピオンズの役目でもある。その場合、チャンピオン達は三つのプロセスを行うことが効果的であるとされている。初めに構成員一人ごとのタスクにプライオリティを付与する。確実性、緊急性の高いタスクから優先的に着手させることによって、組織全体の生産性及び効率性を上昇させることが可能である。第二に環境の整備である。物理的、精神的な作業環境を整えることで数値化できない部分での調和を創ることにより、高い要求レベルを達成することが可能となる。最後に要求を資源に転換することである。修羅場や逆境を乗り越えることで人は大きく成長する。ある程度の負荷を掛けることで反発的な成長を見越すものである。ただしこの手法は、今日の余裕のない経営状態、労働環境度外視の従業員奴隷制度が蔓延る現代では恒常的に行われてしまっており、本来得られるはずの益をも無駄にしてしまっていることは否めない。これらの手法は能力の伴ったチャンピオンが、使用箇所を見極めて行うことによって真価を発揮するのであって、付け焼刃の知識で頻繁に行うものではないことに気を付ける必要がある。

 チャンピオンの行う人的管理の手法は、筆者の身の周りでも活用されていた。某ファストフード店でのアルバイト中にこの手法を用いているマネジャーに出会った。彼は多岐に渡る業務の中から緊急性の高いもの、重要性の高いものから優先的に遂行の指示を出し、その執行を行うクルーの要求を充たすことに従事した。クルーの能力と成長に応じて、的確な放置をすることでクルーの作業効率を上げることまで実現させた。この手法を行うマネジャーに対して、少なからず何らかの思うところが筆者にはあるが、いざ自分が同じことをしようとすると難しいのである。非常に簡潔で理にかなったチャンピオンの管理法は奥が深く、マネジャー以外の役職でも応用できる可能性を感じている。