学生の思想を読む

国ではなく国語に住む我々の、思考の差異を追求します。

海士町について考えたこと

 

海士町について以下、いくつかの問題を調べた。

  1. 環境変化による需給バランスと適性地域規模、そしてオーバーツーリズム

講義スライド「海士町 住民主体のまちづくり」p13において、「岩ガキ養殖の急速な拡大が海の生態系のバランスを崩す心配」とある。移住者・島民の人口が増え、事業拡大につれて需給バランスやその規模はどのように調節するのだろうか。また、ブランディングによるオーバーツーリズムへの対処法はどうあるべきか。

――岩ガキの品質管理において、生物学的被害・科学的危害などの観点【1】から、一定の衛生・洗浄能力が求められる。養殖量によって地域で確保可能な洗浄設備に上限が出来るため、標準的な管理上限を定める必要性がある。

 

  1. 都市部との軋轢

地域外部からの外貨獲得について、都市部行政の反発がどのようなものか。

――小島【2】、佐々木【3】によると、2019年ふるさと納税制度によって最も流出した地域が神奈川県川崎市と東京都世田谷区で1、2位を競っている。ふるさと納税制度によって都市部在住者の本来の納税分が地方に流れていく。総務省【4】によると、川崎市の収入財源は56億円もの金額が流出した。このことが発端となり、川崎市はJR線などにふるさと納税による税収流出を訴える中吊り広告を掲示した。

 このことから、基本的に都市部行政にとって都市のカネが地方に流出することは良いこととされない現象であり、その軋轢をどのように扱うか、慎重な議論が求められる。

 

  1. 他地方との差別化

 地方創生事業に乗り出した海士町は先駆者として立ち上げが行われたが、他地域の追随に対してどのような対策を取るか。

――真山【5】によると、地方創生は政府主導により行われる違和感のある事業であるとされる。さらに、問題の中に課題を見つけ、現状から課題をこなし、理想へ向かってゆくことが、本来の倫理的な順序であるとしている。しかし実際の商店街活性化事業などは事業に補助金が付くが解決する課題が指摘されないことを問題点の実例として挙げている。

 私はこの問題について調べるまで、政府主観の考え方をしていた節があるため、あくまで地域間での地方創生に携わる人材の取り合い競争が起こるのではと想定していた。

 

  1. 我々は何を目指すのか

当プロジェクトにおける目的は何か。またそれは地域ごとにどのような地域があるか。

――5で述べたように、本来は解決されるべき問題があって始めてその解決のために地方創生事業が行われる。そこで、起こる問題は主に高齢化による人口減少が想定されるが、地域によってはその限りではない。各地方自治体でどのような問題があるのか話し合う環境があるかが前提になるのではないだろうか。

 

  1. 住む場所に対して人は何を求めるのか

個人差のある豊かな生活の定義はどのようにして求められるか。

――Iターン移住に至る動機、結婚や就職についての考え方が不明

 

  1. 私が地方で活躍できる根拠

地方へのIターン移住者の根拠と地域の決め方は何か。

――地方で活躍出来ると思われる根拠の不在

 

  1. 地方に現存するハイコンテクストな関係

地域独自の風習・決まりなど、移住者にとって面倒な関係はどのように解消させることができるか。

――海士町において、「よそ者・若者・ばか者」を受け入れる覚悟と勇気を持つ。

 

  1. 団結の仕方、立ち上げの方法

地域における変化を嫌う人たち、動きたがらない人たちの対処法はなにか。

――やねだんにおいて、根気よく説得

――海士町において、町長自らの身を切る行動による団結 

 

参考

以下閲覧日:2020/05/13

【1】「「隠岐のいわがき」衛生管理マニュアル」平成19年11月、隠岐のいわがきブランド化推進協議会

http://oki-iwagaki.com/usr/pdf/iwagaki-eisei-manual.pdf

 

【2】money plus「ふるさと納税で3年後に100億円超「流出」、 世田谷区が震える最悪のシナリオ 区民生活のどこに影響が出るのか」、2020、小島和紘

https://media.moneyforward.com/articles/4426

 

【3】東洋経済オンライン「1位は川崎市ふるさと納税「実質流出」の実態

年間40億円超、学校の建て替え費用に匹敵」、2018、佐々木 亮祐

https://toyokeizai.net/articles/-/232240

 

【4】総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税トピックス

令和元年度ふるさと納税に関する現況調査について

ふるさと納税に関する現況調査結果(概要)」、2019

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20190802.html

 

【5】「【2017 年総会記念講演】「地方創生」ブームの危うさと今後の課題」2017、真山達志

http://www.jichiro-kyoto.gr.jp/soken/kaiho/17y/130/2.pdf