イスラームは中東ではないしイスラームはアラブでもない。
1「イスラーム」イコール「中東」ではない。
マレーシア、インドネシアを見る。インドネシアはアジアにありながら住民の9割(2億2000万人)がイスラム教徒である。インドネシアは国の人口に比例するイスラム教徒の比率は世界で一番多い。またマレーシアではイスラム教が国教となっている。しかしこの両国は中東に属する国ではない。したがってイスラームイコール中東は成り立たないことがわかる。
2「イスラーム」イコール「アラブ」ではない
インドネシアはインドネシア、マレーシアはマレー語を話しているので、イスラームはアラブでもない。さらに、旧ソビエト連邦の崩壊後は旧ソビエト連邦領内で民族紛争が激化し、以後は中央アジアの政情が不安定になった。カスピ海に位置するアゼルバイジャン共和国の国教はソ連の一部であった時期は宗教は存在しなかったが、ソ連崩壊後はイスラム教となっている。アゼルバイジャンではソ連の体制下であっても、自らの信仰を保っていた。アゼルバイジャンは中東ではなく中央アジアであり、言語はアゼルバイジャン語であるため、アラブとは言えない。
また他の中央アジアに位置するキルギス共和国、ウズベキスタン共和国、タジキスタン共和国、トルクメニスタン共和国、カザフスタン共和国には多くのイスラム教徒がいる。ースタンとつく国はすべてイスラム圏の国である。これらのことから、イスラームイコール中東とは言えないといえる。
3「中東」の範囲
中東の定義はあいまいなものである。極東とは、ヨーロッパから見た東の方向を指す。近東とは、ヨーロッパから近いオスマントルコ帝国の領域を指した19世紀の用語である。オスマントルコ帝国とは1299-1922年まで栄えていた帝国でこれは現在のトルコ共和国のあたりを指す。第一次世界大戦によって敗戦国となったために現在のトルコとなった。中東とは、極東と近東の間にある地域を呼ぶが、具体的な位置ははっきりしていない。日本の中東に対する定義は外務省がしており、かつては中近東という言葉
をつかっていた。かつての中近東とは、アフガニスタンからモロッコまでの地域を想定していた。そして中東の位置をかつての欧米では西アジアという用語が用いていた。ヨーロッパとはトルコとブルガリアの国境にあるボスポラス海峡、アフリカとはスエズ運河によって仕切られた位置を西アジアと呼んでいた。我々は中東の地域をアフガニスタンから西に広がり、北アフリカ一帯を含む23か国について扱ってゆく。
中東の国と首都
アフガニスタン:カブール
イラン:テヘラン
シリア:ダマスカス
ヨルダン:アンマン
サウジアラビア:リャド
カタール:ドーハ
オマーン:マスカット
アルジェリア:アルジェ
モロッコ:ラバト