学生の思想を読む

国ではなく国語に住む我々の、思考の差異を追求します。

世界の言語の分類・整理

スペイン語の領域

・どの地域で話されているのか?

 中国語と英語に次ぐ、母語人口の多い言語である。2006年にヒンディー語母語人口が増加し、現在では四番目になっている。スペイン本土にとどまらず、中南米の地域で用いられている。

・なぜ広域で使用されているのか?

 以下の歴史による。



-歴史から見たスペイン語

コロンブスの新大陸発見がもたらしたもの?

 1492年、コロンブスが新大陸を発見する。スペインとポルトガルで航海技術の発達により、ヨーロッパ以外の世界を制覇しようとした動きがあった。

 1494年、トルデシジャス条約によって、一部の地域を除くアメリカ大陸の大部分に優先的に進出する権利をスペインが得た。スペインがカリブ海の島々をはじめ、中南米を支配したため、スペイン語が普及した。

 1506年にトリデシジャス条約が廃止され、その後イギリス、フランス、オランダによってこの地域は植民地化された。

 

 

・なぜブラジルだけがポルトガル語

 現在のブラジルに当たる地域は、トリデシジャス条約における境界線の外にあった。そのため、ポルトガル人によって発見された



中南米スペイン語

・何か国でスペイン語が話されているのか?

 中南米カリブ海の島の中で、キューバドミニカ共和国ではスペイン語公用語とされている。ドミニカ共和国の東にあるアメリカの自治連邦区であるプエルトリコではスペイン語と英語の二つの言語が公用語となっている。アメリカの自治領では日常的には英語よりもスペイン語が用いられており、アメリカ合衆国への移民も多く、ニューヨークなどへ働きに行く人がいる。南米はブラジルを除くコロンビア、ベネズエラエクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、パラグアイウルグアイの9か国でスペイン語が話されている。

 

・アフリカ大陸や合衆国でスペイン語が話されている?

 北米では英語の次にスペイン語が話されており、その話者数は1000万人を超えるといわれている。メキシコと国境を接するカリフォルニア、アリゾナニューメキシコや、キューバと150kmほどの距離にあるフロリダなどの州ではスペイン語がトリデシジャス条約の際に普及した地域と考えられる。つまり、16世紀以降にスペインが征服した地域である。

 アフリカ大陸でもスペイン語は話されている。唯一スペイン語公用語とされているのはアフリカ中西部にある赤道ギニアである。かつてポルトガル領であったが、現在では第三言語としてスペイン語が用いられている。

 

・どこにあるアンドラ公国

 スペインとフランスの間に位置するアンドラ公国ではフランス語とスペイン語が話されている。日本の金沢(神奈川?)とほぼ同じくらいの面積であり、スペインとフランスの二か国の郵便局が運用されている。近くにあるカタルーニャでは、カタルーニャ語公用語であるが、スペイン語も用いられている。

 

スペイン語はどんな言語なのか

・「イベリア半島の原住民」とは?

 有史以前、イベリア半島に住んでいたのはイベロ人である。その言語は北アフリカ起源だと言われている。イベリア半島という名前はイベロに由来している。

 

・その後どのような異民族がイベリア半島に侵入した?

イベロ人の時代にイベリア半島の北西部からケルト人がこの地に侵入した。そしてイベロ人とケルト人が混血し、彼らの言語が次第に統一されていく。そしてケルト・イベロ人種の成立が起こる。その後、フェニキア人やカルタゴ人がイベリア半島に進出した。フェニキアは現在のレバノンカルタゴは現在のチュニジアにあたる。

 

ラテン語イベリア半島に普及したのはいつ頃?

紀元前206年ローマ人によってイベリア半島の征服が始まる。この時期にラテン語が普及する。ロマンス語と呼ばれる言語はラテン語から派生していく。従来からのイベリア半島の原住民の言語がすぐさま消滅することはなかった。そして長い間この地域は二重言語使用地域となった。これは英語でbilingualismと呼ぶ。

 

ラテン語はどのように分化した?

 ラテン語自体も上流階級の古典ラテン語(Classical Latin)と、庶民の俗ラテン語(Vulgar Latin)に分化した。俗ラテン語がさらに分化し、ロマンス諸語(イタリック諸語)が出来上がる。

 東方ロマンス語としてイタリア語、ルーマニア語、西方ロマンス語としてスペイン語ポルトガル語、フランス語、プロヴァンス語(フランス、モナコ、イタリアで話される言語)へ派生していった。



ー今日のイベリア半島

スペイン語以外にもいくつかの言語がある?

 イベリア半島全体の5分の4を占めるスペインでは、スペイン語の他に様々な言語が話されている。スペイン北西部のガリシア地方ではガリシア語、スペイン第二の都市であるバルセロナではカタルーニャ語が話されており、これらの言語を研究することはロマンス語学者の手に委ねられている。今日まで多くの言語学者の中で注目を浴びてきたのが、カンタブリア海におけるバスク語である。近年に至るまでほとんど手がつけられておらず、スペイン語とまったく異なり、この言語について起源がわかっていなかった。アフリカにルーツがあるとされている。

 

ー南スペインのアラビア語ベルベル語

・スペインの領土は北アフリカにもある?

南スペインにはアンダルシア地方に面するアフリカ大陸のセルカとメリーダがある。モロッコは1956年にフランスの植民地から独立したが、この地域は未だにモロッコに変換されておらず、スペイン領である。ここではアラビア語ベルベル語が話されている。

 

・なぜカナリア諸島に注目しなければならないのか?

 モロッコ沖にあるカナリア諸島ではスペイン語が話されている。カナリア諸島の原住民はグアンチェ人と呼ばれている。グアンチェ人の言語やバスク語ベルベル語に起源があるのではないかという研究がされている。また、西サハラではハサニア語が話されており、イベリア半島で元々話していた言語はこういった言語に近いのではないかという研究がされている。