学生の思想を読む

国ではなく国語に住む我々の、思考の差異を追求します。

情報化社会とデータサイエンス

新しく学んだこと

 警視庁サイバー犯罪対策プロジェクト、日本情報倫理協会でサイバー犯罪についての広報活動や啓発活動が行われる。技術のみに依存した場合、概念や操作が難しくなり、それについていけない人を増加させる可能性が大きい。その結果、インターネットの利便性を低下させる。事実、チェーンメールなどの迷惑メールは非技術的要素であり、技術のみの依存では対処が難しい。ドイツやアメリカにおいても、法律で強く規制したことによって本来保障されるべき自由や権利まで規制の範囲に入ってしまう恐れがある。インターネットは応用問題の宝庫であり、自ら学んでいくためにはある程度自由に使わせることも必要である。いわゆるネチケットをルールととらえるか、倫理規範ととらえるかには、実は微妙な問題がある。健全性のためには、利便性の低下を最小限に抑えながらも、出来る問題から規制していく地道な作業の元に成り立っている。

 SNS中傷は年間5000件を上回る数の相談が出ているほどに急増している。もし自分が中傷をされた場合の対策としてそのスクリーンショットを取ることや、ミュート機能、ブロック機能、フォローの解除などの手段がある。現在では機械学習によって攻撃的な発言は見えないようにする機能なども実装されているSNSがある。SNS中傷によって訴訟となった場合でも、賠償より請求費用の方が高くつくケースが多く、被害者は泣き寝入りとなることが多い。今では裁判を簡素化しようとする動きも見られる。

 

NHK クローズアップ現代+ 2020年6月4日

ネットのひぼう中傷 なくすために ~女子プロレスラーの死~

 22歳で亡くなった木村花さんは、毎日100件近くの中傷をされていたことと、傷ついたことはそれを否定出来なかったという自身の気持ちを自身のSNSに投稿した。中傷の当事者は自身の気に食わなさを投稿したことが、相手にとって大きいダメージを与えることがわからなかった。立場が自分より上で、ある程度成功している人に言われたことは、たとえ正論であっても馬鹿にされていると感じるという。正義感から言い返したつもりであったが、その言い方が加害者ではないかと後から反省したケースもあった。当事者を擁護するケースも多くあったが、擁護する人に対して攻撃されるようになるケースも見られた。会社経営とユーチューバーをしている葉山さんは木村さんのことを反論したくても反論できない状態にあったのではないかと見解を述べた。これは反論をすることによって反論した人間への攻撃がよりヒートアップすることにつながる。番組を見た視聴者の怒りや正義感は、リアリティー番組に感情移入していたことが原因となる。

 ひぼう中傷の被害は、攻撃者を特定し裁判を起こすことも不可能ではないが、実際にそれを行うケースは少ない。匿名で書き込んだ人を訴える場合、裁判所を通じてIPアドレスを特定し、誰が投稿したかを調べるには携帯会社とプロバイダを通じる必要がある。そこから裁判を起こすための費用が掛かるため、100万円以上の負担となる。

 韓国でもSNSでの中傷によって、新たなソルリ法案という個人の特定が容易になる仕組みが議論されている。しかし攻撃の投稿と通常の投稿の境目が曖昧であるため、実装は難しいという意見もある。ファンの協力によって、ひぼう中傷を通報する動きも見られる。

 投稿をする際に警告文を出すことは実際に攻撃の抑制に効果があるとされているが、私たち一人一人が出来ることは、言い争いをしないことや誰かを責めることをしないことなどである。

 

考察

 SNSひぼう中傷の摘発の難しさに、多くの人が頭を悩ませるだろう。SNSを利用していると、必ずといっていいほどに毎日一回はそのような投稿に出くわす。そもそも中傷というものは送信する側と受信する側がいて成り立つものであり、人間の社会的行動からその動きをなくすことは出来ないことが原因だと思われる。問題の解決方法について、中傷を言わせないようにするか、言わないようにするか、聞かないようにするか、聞くことができないようにするか、あるいは聞いてしまう、などがあると思われるが、そういった選択を出来るようにすると少しは改善されるのではないだろうか。それぞれの選択が選べない現在においては、各個人の耐性レベルに基づいて、どの手段を使い、どのようにSNSを運用するかを相談できる場を設けることは有用に感じる。インターネットは自由な場であるが、自由である故に取捨選択が出来ない人が多いように感じるので、その悩みを解決できるサービスを探し、なければ構築したいと考えている。