学生の思想を読む

国ではなく国語に住む我々の、思考の差異を追求します。

中東の自然と「中東」という呼び名

中東の自然
 中東には暑い砂漠の平坦な地域という印象が持たれることが多い。
イランのテヘランにはターミナルビルの屋根が積雪で崩落。
レバノンではコバルトブルーの地中海を見下ろしながらスキーが楽しめる。
いくつかの高山では積雪がある。イランのダマバント山(5871m)、トルコのアララト山(5137m)、モロッコのツブカル山(4165m)など、富士山より高い山が多く点在する。このことから中東は砂漠地域ではない。砂漠が熱いのは夏の日中だけである。夜は厳しい寒さがある。エジプト、カイロの夏の平均最低気温は東京より寒い。

 

      東京     カイロ (単位:℃)

6月 18.8  17.9
7月 21.9  21.5
8月 24.0  21.6
9月 22.0  19.9


さらに、イエメンの国境ジザン州では夏でも軽井沢のような気候で、過ごしやすい。
オマーンでは夏に雨が多く、うっそうとした緑の樹木が茂っている。
トルコでは中東で一番北に位置しており、首都アンカラは北緯40度にある。

これは中国北京や日本の青森県八戸にあたる。
トルコのイスタンブール青森県の最北部にあたる。
エジプトは鹿児島県屋久島の南にあたる。
イエメンのアデンはタイ、バンコクの南にあたる。
これらのことから、中東の南北の広がりは相当大きく、中東全体が熱い寒いといった認識は誤りである。

 


「中東」という呼び名
 中東という呼び名を最初につかったのはアメリカ人の海洋戦略家・歴史家のアルフレッド・マハンである。20世紀の初頭にロシアとイギリスの覇権争いで空白地帯となっていたスエズ運河からシンガポールまでの地域をMiddle Eastと呼んだ。アラビアからペルシャまでを中間の東と呼んだ。中東はアラブ・イラン・トルコ地域という3つの地域からなっている。中東という呼び名はWW2後から頻繁に用いられる。中東には19世紀にはオスマン帝国支配下バルカン半島ギリシャブルガリアアルバニア、旧ユーゴ)を含んでいたが、かつての東西対立で東になる、つまり社会主義的になる危険をもつものとして、社会主義的東方という意味を込められた、西側的発想としての地域編成概念ともいう。