学生の思想を読む

国ではなく国語に住む我々の、思考の差異を追求します。

多様な歴史の重層としての中東

 6世紀の終わりから7世紀にかけて成立したイスラーム以前にも長い歴史が続いていた中東。
メソポタミアやエジプトは中国やインドよりも古い文明を生んでおり、地価発掘によっていくつもの文明が重なっていることが明らかになった。
 メソポタミア文明は、現在のイラクティグリス川・ユーフラテス川のあたりに存在した文明である。中国は黄河文明、インドはインダス文明と言われている。


 トルコ北東部のアナトリア地方には紀元前6000年に出来た古い発掘物がある。それが示すものは、石器時代にはじまり、ヒッタイト時代、ヘレニズム時代(ギリシャ)、ビザンツ時代(ビザンチン帝国・東ローマ帝国395-1204)、イスラーム時代といった文明の重層構造が見られる。トルコの首都アンカラの近くにあるイスタンブールは、紀元前700年ごろにはビザンティウムと呼ばれていた。さらに、紀元前330年ごろにはコンスタンティノープルと呼ばれ、ビザンチン帝国の首都となった。その後1453年以後、オスマン帝国支配下イスタンブールと呼ばれるようになった。この地名の推移は、「歴史と文化の時間層」を示している。トルコにあるアヤソフィアモスクの天井を削ると、ビザンツ時代の壁画(イエス)が現れる。つまりこれは537年ごろにギリシャ正教の聖堂であったことを表す。もともとキリスト教が教会として用いていた建物をイスラム教がモスクとして使用し、現在では博物館となっている。