学生の思想を読む

国ではなく国語に住む我々の、思考の差異を追求します。

理想的な福祉サービスと福祉人材

近年の少子高齢化において、その影響は計り知れないものになろうとしている。この問題は日本だけに留まらず、世界中で広く議論に取り上げられている。アンデルセンが提唱する福祉レジーム論における、脱商品化の発想を元にして、日本では政府主導の元、福祉業界に対する支援や制度の改革が年々行われている。福祉、主に介護産業における需要は今後ますます増加を辿ると予測されるが、総務省の統計によると2048年(平成60年)には日本の人口は1億人を割るとされている。そこで重視されてくるのが、労働力の不足や過重労働である。今日の報道では、多くの労働者が過酷な労働環境で働くことを強要する、ブラック企業という存在が明るみにされている。また残業を行った労働者への残業代をゼロにする法案が議決決定されるなど、倫理的に問題のある環境が構築されている。前置きが長くなったが、筆者はこのような労働者に対しての精神的な安寧を提供することも社会福祉の役目のひとつであると考える。そしてその施設またはサービスの必要性をここに述べたい。筆者の出身県である神奈川県では、県庁の黒岩祐治が「未病」という新しい概念を発表した。未病とは、健康と病気のどちらでもない状態を表す言葉で、本来は高齢者の生活習慣病や健康長寿に対しての指標として掲げられたものである。筆者はこの未病という概念は労働者などに対しても活用できると考えた。いわゆるブラック企業もしくはそれに順ずる労働環境で働く人に対して掛かる負担を取り除く、健康で文化的な生活を行うための助言や環境の提供を行う施設を作ることが、現状の労働者を守る砦となると考えた。具体的な取扱商品やサービスは物質に依存せず、人の生活そのものをサービスとして処方する。販売という表現を用いない理由は、ここで得たサービスの対価として、その施設内で販売する野菜などの生産物を飼育するなど、労働力を貰うことにある。未病を改善する処方を受けながら、その対価として別の利用者への処方を提供する。究極の自給自足であるビジネスモデルだと考える。このモデルは国内外の環境を問わず実現可能な点で、仮に発展途上国に設置することになると、現地での雇用の創生にもつながる。未病の改善のための三要素として、神奈川県では食、運動、社会参加の3つをあげている。食に関しては実際に物が必要なものであるため、環境や地域に依存するが、後者2つはその限りではない。このモデルのためには資金面の運用など、様々な課題が存在しているが、その実現のために、筆者は創価大学で学問を修めてゆく。

 


 参考
キャリアパーク!
 https://careerpark.jp/91379
総務省
 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc112120.html
神奈川県
 http://www.pref.kanagawa.jp/policies/touch/16/